2015年6月7日日曜日

熊本大学名誉教授入口先生のFacebookの投稿より「実質賃金マイナスの「貧しいバブル」と引き換えに」

入口先生のFacebookへの投稿を、ここにShareします。
https://www.facebook.com/norio.iriguchi

      実質賃金マイナスの「貧しいバブル」と引き換えに
                  
 安倍内閣を支持する国民は、「集団的自衛権」がしょせん「違憲」らしいことを承知しています。
 ナチスのような過ちを繰り返すことが大局的にどう「割に合わないか」が説き明かされ、国民によく納得されることが必要なようです。
 1929年に「大恐慌」が起きると、ドイツでも深刻な不況で約600万人が失業に苦しみました。ヒトラーは、第一次世界戦後のベルサイユ条約を無視して再軍備をすることで雇用を創出しました。18歳から25歳までの男子は全員徴兵されました。軍服は着用しましたが直接の兵役でなく、労働研修や植林、高速道路(アウトバーン)建設や病院建設などの仕事でした。それによって失業者の数は40万人にまで減少しました。国民は熱狂して喝采しました。ヒトラーにとって、第一世界大戦で「負けたこと」への「痛恨の反省」から、第一次世界大戦の「やり直し」(第二次世界大戦)はすぐそこでした。
   
「集団的自衛権」は「違憲」と断定できますが、一方で、国民は「アベノミクス」に熱狂しているようです。なぜなら、内閣支持率は高止まりしていますから。
(1) 株価が2万円を超えた
(2) 2015年1-3月期のGDP成長率がプラス2.4%になった
(3) 4月からの賃上げが7割の企業に拡がった
(4) 大学生の就職内定率が97%となり、来年も売り手市場になりそう
(5) 14年度の経常収支は前年の1兆円の黒字から改善して7.8兆円の黒字
(6) 2015年4月に「実質賃金指数」が前年4月比0.1%と2年ぶりのプラス
 上記(6)について菅官房長官とメディアは「実質賃金がようやく回復した」と主張していますが、2014年4月の実質賃金が消費税で2013年4月に比べて3.6%も急落していたので、それよりは0.1%プラスというだけです。実はおととしより3.5%マイナスです。通年では、2014年度の「実質賃金指数」は、前年度比3.0%マイナスと4年連続減少し、1990年度の統計開始以来、最大の下げ幅を記録しています。(と、メディアは報道しません。)
(7) 生活保護世帯の増大、学生の借金苦(奨学金地獄)など貧困の拡大についてもメディアはほとんど黙殺しているようです。
 日本では量的緩和によって通貨が下落しました。日本は実質競争力が低下する過程で、海外から見ると製品価格が下落して価格競争力をもちました。外国資本は日本株を買いました。
 でも、日本は無資源国です。現場の努力で成長するしかありません。このまま実質競争力を喪失して行くと、あっという間に価格競争力もなくなり、量的緩和を繰り返しても外国資本はもう日本株を買わなくなるでしょう。
 日本の若い世代と将来の子孫は、果たしてあのころの「貧しいバブル」と引き換えに「徴兵制」と「原発稼働」を手に入れて、幸せに暮らしているのでしょうか。




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