2015年4月4日土曜日

IAEAは世界の原子力ムラの頂点に立つ機関です。公平・中立な機関でありません。

熊本大学物理学者入口名誉教授のFacebookから


          危険な内容の研究会
             
 英国オックスフォード大学のW.アリソン名誉教授は3月24日衆院議員会館で開かれた「放射線の正しい知識を普及する研究会」(会長有馬朗人)で講演し、内被ばくの基準として「月間100ミリシーベルト」を提言したようです。
http://www.zakzak.co.jp/…/…/20150326/dms1503261140008-n1.htm
 その内容が夕刊フジの「目覚めよ日本」という上記記事(H27.3.26)の内容のようです。
 聞き捨てなりません。W.アリソンがどのような人物かを私はよく知りませんが、大変危険な内容だと私は思います。
 ヒトの被ばくに関する世界の系統的なデータは、日本の広島と長崎にしかありません。この人物(アリソン)の研究室にはありません。米国には1951年の兵員被ばく実験(ネバダ)のデータがありますが、それも系統的なデータとはいえません。
 広島と長崎で原爆症の症状が現れたのは、原爆による被ばく量が年換算で1ミリシーベルトを超えたときでした(広島と長崎で、厚労省のこの年1ミリシールトを基準に、2014年現在約20万人が「原爆手帳」を保持して暮らしています)。
 被ばくの危険な点の一つは、傷害の多くが蓄積されることです。「2シーベルト」の被ばくではヒト(平均的な大人)が死に始めます。「4シーベルト」では半数のヒトが死にます。「8シーベルト」では全員のヒトが死にます。さらに、小児、乳幼児、胎児、胎芽、受精卵はその何倍も危険です。また、被ばくでは、たとえ死ななくても、細胞核内でDNAの二重らせんが切れてしまい、その個体が傷害を受ける(がんや白血病が起こる)だけでなく、傷害が子孫に伝わり得ます(広島、長崎では、想定外であった被爆二世、三世の白血病が補償されず、問題となっていますね)。
 W.アリソンの「月間100ミリシーベルト」の被ばくでは、1年8ヶ月で2シーベルトに達して人が死に始める恐れがあります。3年4ヶ月で4シーベルトに達して2人に1人が死ぬ恐れがあります。
 前記「目覚めよ日本」の記事では、また、国際原子力機関(IAEA)の提案として、年1ミリシーベルトの基準を否定したうえで、汚染水も安全基準値を下回るものは海への放出を検討すべきだとも紹介しているようです。その内容も疑問です。IAEAとは、その使命に二つあって、米・英・仏・中・露以外の国に核兵器が拡散しないように監視することと、原子力利用を推進することです。IAEAは世界の原子力ムラの頂点に立つ機関です。公平・中立な機関でありません。

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