Mixiで貴重な資料を公開なさってらっしゃる方がいらしたので、快くご了解を得まして、こちらに御紹介させていただきます。
「チェルノブイリからの警告~25年間現地の子供たちを診てきた医学博士より~」 2011年12月11日福島市内のコラッセふくしまにて、チェルノブイリ事故の子どもへの健康影響における研究の第一人者であり、事故前はロシアの小児科医でもあったウクライナ放射線医学研究センターのステパノワ医学博士にご講演いただきました。
http://youtu.be/e-RiD2cP6SY
■5万人の子どもを診察した医学博士
エフゲーニャ・ステパノワ博士。
ウクライナ放射線医学研究センターの放射線小児先天遺伝研究室長です。
今年10月には文部科学省の森裕子副大臣がウクライナを訪れ、アドバイスを受けたことでも知られています。
25年間で5万人以上の子どもたちを診察した経験がある博士は、チェルノブイリ事故後に起きた子どもに対するの影響に関して、最も詳しい一人と言われています。
今回は国際的な環境NGOグリンピースの招へいで来日しました。
http://youtu.be/GQJ4MRnCBi8
2011年12月放送の番組です。
OurPlanetTVの白石草さんがウクライナで5万人の子供を診察したエフゲーニャ・ステパノワ博士にお話を伺っています。
白石: 今日はウクライナ放射線医学センターのエフゲーニャ・ステパノワ医学博士にお越しいただきました。
よろしくお願いします。
■ウクライナの子ども 健康影響は?
白石:
博士は25年間5万人に及ぶ子どもたちをウクライナで見ていらしたということなんですけれども、今日本でも、やはり子供たちに対する健康への影響というのが一番の関心事となっています。
まず25年前、事故直後の時からですね、どのような影響が子どもたちに出てきたのか、今までを振り返ってまずお話を頂きたいんですけれども。
ステパノワ:
1986年4月26日にチェルノブイリ事故が起こりました。
その時、放射能の雲というものがとても沢山発生いたしました。
そして私たちはチェルノブイリ事故からずっとこれまで、チェルノブイリの被災地域から避難した子どもたちの状況と、そして避難していない、汚染地域に残っている子どもたちの健康状況というものをずっと調査してまいりました。
その時に子どもたちが、一番どのような症状を訴えたかというと、いわゆる疲労が激しいとか、衰弱、それから神経不安定、頭痛、めまい、不眠、それから首の部分、特にそこには甲状腺がありますので、首の部分の痛みとかを、そういうものを訴えることになりました。
1986年当時、チェルノブイリ周辺の子どもたちは、喉がいがらっぽい、鉄の味がする、咳が止まらない、疲れやすいなど、さまざまな症状を訴えていました。
ここ大切です。今の日本のご自身がいらっしゃる場所でご自身や周囲の方の口から聞こえてくる症状と比較してみて下さい。
●「立ち入り禁止区域」から避難した子どもが訴えた症状
・喉がいがらっぽい、
口の中で金属の味がする・・・ 55.7%
・疲れやすい・・・・・・・・・・・・・・・ 50.1%
・頭痛・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39.3%
・咳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31.1%
・首部分の痛み・・・・・・・・・・・・・ 29.8%
・めまい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27.8%
・不眠・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18.0%
・失神・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9.8%
・吐き気と嘔吐・・・・・・・・・・・・・・ 8.0%
・便通不順・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6.9%
ステパノワ博士の診断によると、呼吸器やリンパなので様々な障害が出ていたと言います。
●体のもっとも典型的な反応
・血液データの質的な変化・・・・ 92.2%
・血液データの量的な変化・・・・ 34.2%
・リンパ組織の過形成・・・・・・・・ 32.2%
・呼吸器症候群・・・・・・・・・・・・・ 31.1%
・心臓血管系の機能障害・・・・・ 18.0%
・胃腸管の活動障害・・・・・・・・・ 9.4%
・甲状腺肥大・・・・・・・・・・・・・・・ 6.8%
・肝臓と脾臓の肥大・・・・・・・・・・ 3.2%
その後90年代にかけて子どもたちの間には、極度な疲労、衰弱、頭痛、めまい、不眠など、さらに深刻な症状が見られました。
●事故から1~5年の時期、子どもたちが不調を訴える回数が増えた。
・極度の疲労・・・・・・・・・・・・・・・・ 82.7%
・衰弱・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 71.1%
・神経の不安定・・・・・・・・・・・・・・ 65.9%
・胃腸の不調・・・・・・・・・・・・・・・・ 52.8%
・頭痛・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 52.0%
・めまい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40.3%
・不眠・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29.6%
・心臓付近の不快感・・・・・・・・・・ 26.4%
ステパノワ博士は動脈圧の不安定、肺の呼吸器機能障害、心臓の機能変化、胃の機能障害などがあらわれたといいます。
●臨床検査の際に、様々な器官の機能障害が見られた。
・動脈圧の不安定・・・・・・・・・・・・ 70.3%
・免疫力の低下・・・・・・・・・・・・ 60~70%
・肺の吸気機能障害・・・・・・・・・・ 53.5%
・肝臓機能の一時的障害・・・・・・ 52.8%
・心臓の機能変化・・・・・・・・・・・・ 40.0%
・胃の機能障害・・・・・・・・・・・・・・ 39.6%
・運動後の疲れやすさ・・・・・・・ ・ 31.5%
1989年から甲状腺ガンが増加
●ウクライナ医学アカデミーの内分泌・物質代謝研究所のデータによると、子どもの甲状腺ガンの疾患率は、事故から3年後の1989年から上昇が始まった。
・90年~2009年まで、疾患例数は次第に増加。
・09年の疾患例数・・・・・・・・・・ 463例
・86年~08年までに同研究所で、甲状腺ガンで手術を受けた患者数 ・・・・・・・・・・6049人
・その中の子どもと未成年者の割合
事故当時、子ども(0~14歳) ・・・・・・・・・・ 4480人=74.1%
事故当時、未成年者(15~18歳)・・・・・・・ 1569人=25.9%
30キロ圏内から避難した子どもおよび、汚染地域の住民において、事故6年後の92年から、機能障害が慢性病に移行した。
この傾向は、子どもが18歳になるまで見られた。
●最も悪い傾向を示しているのは、甲状腺に高い被ばく線量を受けた子どもたち。
・甲状腺に2・0グレイ〔※〕以上被ばくした子どものうち、 健康な子どもの割合・・・・・・2.8%未満
〔※グレイ: 放射線をあびた物質が、吸収するエネルギーの量を示す単位〕
●健康な子どもの割合が、86年から2005年で、大幅に減少。
・86~87年・・・・・・・・・・・・・・・・ 27.5%
・2005年・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7.2%
●慢性疾患を持つ子どもの数が、86年から05年で、大幅に増加。
・86年・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8.4%
・05年・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 77.8%
●プリピャチ市から避難してきた子どもは、比較的汚染の少ない地域に住んでいる子どもに比べ、疾患率は、ずっと高い。2003年の健康管理システムによる調査で、疾患率は3倍に。
●89年から2003年で、下記の疾患が増加。
・消化器官の疾患
・神経系の疾患
・血液循環系の疾患
・呼吸器の疾患(慢性気管支炎・喘息・気管支炎)
ステパノワ:
そういった子どもたちの動脈圧の低下というもの、ま、不安定なんですね。
動脈圧が上がったり下がったりするというのも私たちは発見いたしました。
心臓のあたりの不快感、それから免疫システムの障害それから呼吸器官の疾患というものも私たちは気が付きました。
たとえば運動とか勉強とかをすると、かなり抵抗力が無いというか、我慢が出来ない。
いつもではありませんけれども肝臓障害という物も時々見られることになりました。
91年92年93年にかけて、そういった症状というものが次第に慢性的な傾向を示すようになりました。
どんな慢性的な病気が見られるか?というと、たとえば肺とか、肝臓それから脾臓、胃などの慢性的な病気の症状が見られるようになりました。
慢性的な病気を持った子どもたちの数というものがだんだん増えていき、そして健康な子どもたちの数が減って行きました。
●汚染地域の子どもの消化器系の疾患は、明確に増加している。
汚染度が555キロベクレル(群馬も首都圏も555キロベクレルの場所などそこんじょそこらにありますよね?)以上の強制移住区域に居住している子どもは、汚染の少ない地域に居住している子どもと比較して、下記の病気が、より多く確認された。
・血液系の障害・・・・・・・・・・・・・ 2.5倍
・肝臓組織の筋腫化・・・・・・・・・ 2.3倍
・呼吸器の疾患・・・・・・・・・・・・・ 2.0倍
・免疫の障害・・・・・・・・・・・・・・・ 1.8倍
・自律神経血管機能の障害・・ 1.52倍
ご説明いたしますと、右が慢性的な病気を持っている子どもたちそして左の棒グラフがいわゆる健康な子供です。
この図からわかるように健康的な子どもの数が減り、そして、慢性病を持った子どもたちの数がすごく増えているのがこのグラフから分かると思います。
この表から分かることは、甲状腺に被曝をうけた線量が高ければ高いほど、たとえば一番右の棒グラフですけれども、0.3。これは単にはグレイです。
要するに甲状腺への被ばく線量が高ければ高いほど、一番右は2.0グレイですけれども、高ければ高いほど健康な子どもの割合というものが低くなっていると、小さくなっているというのがこの表の中から分かると思います。
ステパノワ:
私たちのところでは、避難というのが行われたのは、1986年でもすでに第一地域以外もすべて行われていました。
それは放射線を測った結果、高濃度であるというのが分かった場所から避難が始まりました。
それは555kベクレル/平方メートルあたりの汚染度があったところであります。
そこからの人々がまず避難させられました。
そして放射能の雲というものは、様々なところに点在して行ったわけでありまして、第二区域の人達も年間5ミリシーベルト以上の被ばく線量があるところの人達というところも強制移住という事の対象になりました。
それから第三区域に住んでいる人々というのは、自分たちが避難したければ避難するという地域でありまして、そして受ける年間線量の割合で言えば1ミリシーベルト/年間であります。
そして第四区域の人達というのはどこにも移住をするわけではなくて、そこに住んでいますが、ただ、健康管理の観察対象にはなるという事です。
この地域というのは放射線の環境状況というのは、ずっと管理対象になるということです。
■増える子どもの消化器系疾患
白石:
そうしたらですね、一つ気になるのは先ほどプリピチェから避難された方とか、あるいは消防作業に関わったお子さんたちに、非常に健康が不調だという事がわかるんですけれども、それ以外のたとえばですね、この2番、3番の地域に暮らすような子どもたちの間で、健康上でなにか観察されるような事があるのか、という事が日本の中では関心があるんですけれども、そこらへんはどうなるんでしょうか?
ステパノワ:
もちろん同じように健康の悪化は見られますし、慢性病の傾向というのももちろん高くなっています。
特に私が指摘したいのは、そういった子どもたちの中で一番症状が悪く見られる場所というのは、
胃腸系です。
それはどうしてかというと、汚染地機というのは基本的には農村地域です。
ですから、地元産の汚染されたところで出来た、自分たちの親たちが作った野菜とかそういうものを食べている訳であります。
それと同時にもうひとつ言えることは、牛の問題があります。
汚染された地域で牛を放牧していると、汚染された草を食べた牛から出てくる牛乳というのは当然のごとく汚染されています。
そしてウクライナでは牛乳というものが最もウクライナの子どもたちの主要な栄養源になっています。
●内部被ばくに関与する食品の内訳
・牛乳・・・・・・・・・・・・・・全被ばく線量の80%
・きのこ類・・・・・・・・・・・・・・・・ 2~12.5%
・肉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5~10%
・じゃがいも・・・・・・・・・・・・・・・・ 5~6%
・野菜・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1~6%
・魚・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1.2%
・パン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1~1.4%
白石:
じゃ、ちょっとこちらの方で説明して頂きたいんですけれども、これはこれが消化器系の疾患が増えているという、
ステパノワ:
その説明を簡単にしますと、まず一つ目は折れ線グラフが見えますよね、折れ線グラフの黄色の部分。
その部分というのはウクライナの子どもたちの、被ばくしていない子どもたちに見られる消化器官の疾患レベルを示しています。
で、これを見ると残念ながらウクライナの被ばくしていない子どもたちはかなり消化器官系の病気が多いという事が分かりますが、それと比較しますと今度は上の方ですけれども、上の方(棒グラフ)は最も汚染された地域の子ども達に見られる消化器官の疾患レベルであります。
これを比較してみると、汚染された地域からの子どもたちのレベルというのがかなり高いことが分かります。
白石:
消化器系の疾患が増えているという事なんですけれども、ウクライナ全体で見た時に、もちろん甲状腺がんの人数などというのはハッキリ出ているんですけれども、ざっと見て、たとえば今保養が必要だったり、保養は必要ないけれども若干体調が不調だったり、感染症に弱いとか、たとえば、こう何らかの健康上の問題、いわゆる元気な子ではない子というのは、どのぐらいの割合というか、
ステパノワ:
現在ではデータとしては健康な子どもが27%で、何らかの病気を抱えているという子どもたちは70%もいるわけですね。
ですから、これは私たちのウクライナの状況にかかっているのかもしれませんけれども、残念なことにウクライナの子どもたちは、あまりいい環境にいるとは言えないですね。
被災した子どもたち、人達から言えば、多分この健康な子どもたちの数というのは27%よりももっと低くて、その二分の一になるでしょう。
もし私たちがなにも手立てを施さなかったら、健康的な子ども、健康な子どもの数はもっと悪くなっていたでしょう、少なくなっていたでしょう。
■内部被ばくを低減へ ウクライナの食品対策
ステパノワ:
子どもたちに対して特別に作られている基準というのは、食品によって決まっているんですね。
基本的には1kg当たり、牛乳は1リットル当たり100ベクレルなんですね。
だけれども、子どもに関しては1リットル、もしくは1kgあたり40というふうになっていて、基本的には大人と子供と比べると、子どもの方が厳しいという事になります。
それから、それぞれの住民の人達は自分たちがつくった野菜とか肉とか牛乳とか、そういうものを持って計測センターに行く訳です。
計測センターには必ず、いわゆる説明書というのが、厚い、すごく厚い説明書があって、その説明書の中にこの食品がいくらというふうに全部基準が書かれています。
その基準にしたがって専門家の人達が「この肉はいい」「この野菜はダメ」「このフルーツはいいけどこの野菜はダメ」とか、ちゃんと厳しくそれぞれに対して答えを出します。
放射線が高かったものに対しては、その先をどのようにすべきかというのを教えていきます。
たとえば肉は肉の中にある放射性物質と、それから野菜の中にある放射性物質を少なくするためにはどういうふうにすべきか?というような、つまりこれは、私たちから言えば、出来るだけ多くの人達に衛生面でのテイモウ教育、活動というものを、私たちは常に行っているわけです。
たとえば簡単な例を出しますと、汚染されていたミルク、それをチーズにする。
チーズに加工する、そうすると放射性物質の量というのは10分の1になります。
■ウクライナの健康診断 7つの専門家が実施
白石:
健康診断の方もさまざま行われていると聞きましたけれども、現状、どのような健康診断、子どもに対して、あるいは大人に対してもそうでしょうけれども、どのような体制で、どのような診察というかですね、あるいは管理をされているのか?
そこもちょっと教えていただけますか?
ステパノワ:
まずウクライナでは法律が採択されています。
そこに書かれているのは何が書かれているか?というと、「汚染地域に住んでいる人たちの健康に対するモニタリングを行う、国、及び地方自治体、医療関係者、社会保障分野の関係者が行うべき義務及びその権利」について詳しく書いてあります。
この法律にしたがいまして、子どもたちは一年に一回、それぞれの各専門家の医者のもとで、
総合的な健康診断を受けることになります。
どんな分野のお医者さんかと言いますと、小児科、血液科、内分泌科、神経科、咽頭科、と目。
それと外科、歯医者です。
その他に子どもたちは必ず血液検査を受けます。
それから尿検査も行います。
そして甲状腺などに関しましては超音波診断が行われますし、それと同時に体内の放射性物質の活動がどのように起こっているか、という事についても調べます。
そして子どもたちに何か変化が見られたら、悪い傾向が見られたら、子どもたちは治療に送られます。
チェルノブイリ事故の被災した州というのがちゃんと決まっていまして、その被災した州は特別にチェルノブイリの事故被災者たちを治療する病院があります。
そしてもっとより深刻な病気が見つかった場合、それから放射性セシウムの量がかなり高いレベルで見つかった場合には、そういった子どもたちは私たちのウクライナ医学アカデミーの放射線医学研究所のほうに送られてきます。
そしてここで言っておきたいことは、ウクライナの憲法によりまして、大人も子供も医療に関しては無料になっています。
白石:
今、検査体制のお話を伺いまして、7つの専門医が、専門家がさまざまなところをチェックするということなんですけれども、今日本でも健康調査が始まっていまして、ただ、チェックするところは基本的に甲状腺がんしかチェルノブイリでは観察されていないということで、その他の部分というのは確認するような体制にはなっていないんですけれども、こういう体制になったのにはいろいろと背景があるかと思うんですけれども、甲状腺がんも早め早めに分かれば治療は出来るとも聞いていますけれども、なにかその点で、健康の経過を見ていく、子どもたちをみていく過程で重要なこととはどういうふうにお考えなのか教えていただけますか?
ステパノワ:
甲状腺がんというのは確かにチェルノブイリ原子力事故の影響で、一番大きな病気となりました。
他の病気、今私がお話した病気ですけれど、この病気に関しては様々な議論を呼び起こしています。
「本当に放射能の影響であるか?」それとも「全く放射能の影響ではない」というような、さまざまな議論が行われています。
で、この問題というのはまだ解決しておりません。
しかしながら、甲状腺がんに関しましては国際社会は認めているのですが、甲状腺がんは明らかに甲状腺に放射性ヨウ素を受けたことによって発病したと認められております。
事故直後のしばらくは、甲状腺がんというのも関係があるとはまだ認められていませんでした。
あとから認めるようになったわけですから、国際社会の意見というのは変化する事があります。
いずれにしても分かっていることは、子どもたちの健康の状況は悪くなっているという事です。
そして子どもたちの健康を維持するために何をする事が必要かと言えば、時期を逃すことなく適切に治療を行う事、予防対策をとること。
そのために私足しは現在も健康診断を行っております。
■汚染地機の子ども 健康を守る対策は?
白石:
最後に一点だけ、今もうすでに体調が、博士がおっしゃるように、疲れやすいとか、いろんな症状が出ている子どもたちも福島県内含めてですね、いろいろと出てきているんですけれども、国際社会が認めている一つとして甲状腺がんがあるという事で、これに対しては日本の中でもかなり体制をつくって診断体制から、おそらく治療も、日本のレベルは非常に高いレベルでお金もありますので、そういう意味では早期発見が出来るのではないかというふうに多くの人々が思っているんですが、今やはり、多くの親たちが心配しているのが、年間20ミリシーベルトよりも低い地域という、20ミリシーベルト以上は避難地域になっていますけれども、それよりも低い地域というのは避難させてもらえない地域ですから、そこの地域の中で、たとえばチェルノブイリの汚染地帯の子どものように、将来的にさまざまな複合的な健康の被害が出るのではないかと、もし、そういうものを防ぐためにいったい何が出来るのか?
というような事が一番の関心事にあるんですけれども、その、議論になっているという事で、それが直接放射能に関係あるのかないのか、ということは、なかなか今の状況でおっしゃることは難しいとはいえ、なにかそういったことで不安を抱えている日本の多くの親、あるいはその地域の人々に対してアドバイスできることがあるとしたらどういう事があるのか教えていただけますか?
ステパノワ:
まず一番重要なのは健康的な生活を送ることです。
そういう事かというと、汚染されていない食品で食べ物を摂ること。
充分なビタミンをとること。
そして体力増進に努めること。
もうひとつ重要なことは、一年に一回でもいいですから汚染地域から離れて保養施設などで休むこと。
私たちの経験から言いまして、子どもたちが汚染されていない地域に移る時ですが、その保養に行く時ですが、まず、新しい先に適応するには時間がかかるし、そして、そこで健康増進を図ってそこで治療、ま、治療みたいなものをするわけですが、そのためには最低でも4週間は必要ではないかなと私たちは思っております。
保養施設でありますけれども、事故直後といっても事故直後1ヶ月の場合もありますけれども2ヶ月の場合も3ヶ月の場合もあります。
いろんな場合があったわけですけれども、そういう保養に行く時は子どもたちが通っている学校単位で行く訳です。
つまり、教師が一緒についていって、そして保養施設で健康増進を図ると同時に勉強もするわけです。
だから勉強が遅れるという事はありません。
で、今は25年経過しておりまして、実際には直後のような被ばく線量を受けている訳ではありませんと、ですから、今は大体4週間ぐらいであります。
まあ、経済的な問題というのもあるから4週間になっていますけれども、線量も低くなっているという事もあります。
もし、子どもたちを汚染されていない地域に保養に送ったとすると、1年間に受ける年間線量の10%は少なくすることが出来るわけです。
白石:
これから日本はこうしたチェルノブイリの経験などを学びながら、いろんな対策をしたり、私たちも出来ることをやっていきたいと思うんですけれど、最後に博士から日本の人達にメッセージをお願いしたいと思います。
ステパノワ:
もう一度皆様方、子どもたちそしてご家族のみなさんの健康をお祈りいたします。
そして皆様が合われた不幸を、不幸に立ち向かう勇気というものを持っていただきたいと思います。
私たちも不幸な目に遭いました。
しかしながら、いろんな助けを借りて私たちもこうして順調に戻っております。
その不幸から得た経験というものを、有益な経験というものを、
医療関係者、そして行政当局、そして国へと伝えていけたらいいと思います。
私たちは体験した経験というものを皆様方に使っていただく用意があります。
白石:
今日はステパノワ先生ありがとうございました。
ウクライナの子どもたちの健康についてエフゲーニャ・ステパノワ博士にお話を伺いました。
【資料】 子どもに深刻な健康被害 ウクライナ小児科医の警告
http://fukushima20110311.blog.fc2.com/blog-entry-47.html
ウクライナ政府(緊急事態省)報告書 『チェルノブイリ事故から 25 年 “Safety for the Future”』
(「チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワークの翻訳)
(2011年4月20-22日、チェルノブイリ25周年国際科学会議資料)
http://archives.shiminkagaku.org/archives/csijnewsletter_010_ukuraine_01.pdf
Gesundheitliche Folgen von Tschernobyl
http://www.ippnw.de/commonFiles/pdfs/Atomenergie/Gesundheitliche_Folgen_Tschernobyl.pdf
あらかじめ計算された放射線による死:
EUと日本の食品放射能汚染制限値
フードウォッチ・レポート、
トーマス・デルゼー、セバスチャン・プフルークバイル(ドイツ放射線防護協会)編
IPPNW(核戦争防止国際医師会議)ドイツ支部との共同作成 2011年9月、ベルリン
http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/pdf/genpatu/201109_food_j.pdf
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