7月7日追記します
入口先生のコメント欄へのお返事です。
図は原子力委員会・近藤駿介委員長より「福島第一原子力発電所の不測事態シナリオの素描」として官邸に提出されたもの(2011年3月25日)です。(出典)菅直人 『東電福島原発事故 -総理大臣として考えたこと-』(幻冬舎新書 2012年刊)半径170キロメートルが強制避難区域、半径250キロメートルが避難を認める区域です。6月28日に長期療養先から戻って来てすぐに、京都や九州のお友達から、「2019年6月25日あたりから福島原発から煙が上がって大変なことになってるらしいよ…大丈夫なの?」とメールを頂きました。
その内容を見て、気にかかったので、熊本大学入口名誉教授にご連絡して、状況のご確認をご相談致しましたところ、
以下のように、入口先生は、入口先生のFacebookで公開して説明して下さいました。
それについては後半にシェアします。
私がずっと、1番気にかかっているのは、福島原発に再び大きな再臨界の事故が起こったときには(京都大学の名誉教授の先生が書いてらっしゃるような、東京まで住めなくなるような最悪の事態の可能性のことです)
群馬県や東京に居る我が子やその奥さんたちや孫たちを、間髪入れずいち早く逃すためには、いったい私たち一般庶民は、どこにどういう形で公開されているどのデータを自己判断の基準にしたら良いものかと、そのことばかり考えてました。
それで、今回入口先生のFacebookで何回かに渡ってご質問しましたところ、入口先生から、丁寧なお返事を何回も頂きました。
福島原発に絶対に起こらないとは言えない大きな災害について、入口先生にはもう何年にも渡って何度も何度も繰り返しご教示頂いているので、理解力と記憶力に欠けた私は、自分の個人ブログに、絶対に忘れないように、自分で整理して、先生のお言葉を一言も変えることなく、ここに記録して残したいと思います。
そして、忘れないうちに、何度も何度も読み返しそうと思います。
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私
入口紀男先生、
http://www.tepco.co.jp/decommission/data/monitoring/dustmonitor/index-j.html
東電は公開しているダスタモニターですが、こちらは再臨界を知るときの目安になりえますか?
このように感じる方々は他にも沢山いらっしゃるご様子です。
https://www.facebook.com/100011331077034/posts/1077602145960811?s=582158364&sfns=mo
先生、さらに踏み込んだ質問ですが、
我々一般庶民が再臨界を知る術が、入口先生のご説明では、もはや、東電や福島県が公開している空間放射線量のモニタを見ても分からないと有様であると言う事は、再臨界を証明するデータが開示された時は、もう放射性プルームはガス化して東京首都圏まで到達してしまっている可能性は否めないと言う意味で捉えてよろしいんでしょうか?
あるいは、東電や政府とは立場の違う第三者で頼りになる専門家の皆さんがどこかでデータ観測を続けて下さってたりするのでしょうか?
入口先生
我われが何も感じなくても地震計はいつも微小な振動を記録していますね。いつ大地震が起きるかは分かりませんが、地震計が大きな揺れを記録するのは大きな揺れが起きる前でなく起きたあとの祭りです。
線量計モニターでは再臨界が起きたかどうかは分かりません。塩素38がごくわずかでも検出されると半減期が37分しかありませんから再臨界が起きたことになります。福島第一原発の敷地内でしか検出されることなく終わるものもあるのではないかと私は想像しています。
塩素38はごく微量でも遠く離れたCTBTの高崎観測所で検出されると公表されます。ただし、再臨界で大規模な核爆発が起きたときは高崎観測所が検出してもあとの祭りです。
私
入口紀男先生
「塩素38」が環境中に検出される事が再臨界が起きたことを示す目印になるんですね。
そしてそれは半減期がたった37分しか無いんですね。
線量計モニターでは再臨界が起きたかどうかは分かりませんとありますが、それでは公開されているダスタモニターのデータでは臨界の証拠になる塩素38は検出出来ないものなんでしょうか?
入口先生
ダストモニターでは塩素38は検出できません。粉じんのことしか分かりません。
格納容器は壊れていて原子炉内部と環境はわずかですが連通しています。格納容器は昼夜の温度差、酷暑の夏と厳寒の冬で深呼吸しています。そのたびに大量の放射性物質が環境に漏れ出ています。我われの健康を守るためには、空間線量の監視も粉じん監視も重要です。環境に漏れ出る放射性物質が増加したからといって再臨界が起きた証拠にはなりませんが、その逆は真で、再臨界が起きると環境に漏れ出る放射性物質は増加するはずです。
5号機、6号機は首相の指示により廃炉を決定し、核燃料を抜き取ったはずです。仮に6号機に核燃料が残っていて、「すべて抜き取り終わったと公表していたわけでなく、先日の白煙がベント(気圧調整)によるものであった」とすれば、東電はすべての公表について信用を失うでしょう。東電がそこまで意味のないことをするとは考えにくいです。
マスコミで県庁に問い合わせたのは一社も無かった
6号機付近から白煙が吹き上がったのは、6月25日14時42分頃でした。その時間帯には、6号機の非常用ディーゼル発電機の定期の手動起動試験が行われていました。現在6号機の炉心には核燃料は装荷されていません。
問題は、そのとき6号機からの白煙は実在しており、福島県庁に問い合わせるなどの努力をしたのが村田光平・元駐スイス大使だけであったことです(福島県庁)。マスコミで県庁に問い合わせたのは一社もありませんでした。
https://www.facebook.com/norio.iriguchi/posts/3219337041440397
1~3号機は事故直前まで稼働していましたので、およそ半量の138トンが未反応であろうと考えられます。その138トンの未反応のデブリは、濃度と形状によっては、あるとき周囲の水を中性子減速剤として核分裂連鎖反応を起こし得ます。すると熱エネルギーと同時に広島原爆約7,000発分の放射性物質(セシウム137換算)が生成される可能性があります。その可能性はこれから100万年間続くでしょう。デブリの残り138トンは使用済みであり、広島原爆約7,000発分(セシウム137換算)の放射性物質をすでにもっています。我われ日本人は福島第一原子力発電所を常に監視し続けなければなりません。
私は、更に、私が気にかかる点についてコメント欄で入口先生にお尋ねしてみましたところ、
今一度、入口先生は入口先生のホームページで公開で解り易くご説明して下さいました。
水がなければならず、水があってはならない(1~3号機)
溶け落ちたデブリに含まれる138トンの使用済みの核燃料は自己崩壊熱を発しています。熱は逃げ場がなければ蓄積されて温度がだんだん高くなります。格納容器の底を突き破って地下水脈に達するでしょう。すると広島原爆7,000発分の放射性物質が地下水によって太平洋に流れ出るでしょう。そこで、現在は水を注入して冷やしています。注入した水は放射性物質で汚染されますが、汲み上げてタンクに貯蔵すればよく、格納容器の底を突き破らせて地下水脈から太平洋に漏れ出させるよりはましです。
一方、溶け落ちたデブリに含まれる残り138トンの未反応の核燃料は、その形状、配置と濃度によっては周囲の水を中性子減速剤としていつ再臨界を起こすかが分かりません。私たちが心配している最悪の事態とは、この再臨界のことです。再臨界が起きることとは「大気開放炉」が出現することを意味します。原子炉が大破して内部の放射性物質がすべて環境に出てくる恐れがあります。再臨界にも様々なレベルのものがあり得て、単にごくわずかな塩素38などの新しい核分裂生成物が観測されて(すると内部では核燃料の形状と配置、濃度が変わり)それで終わるレベルのものから、一つの原子炉から広島原爆2,000~3,000発分の放射性物質を発生する大災害のレベルのものまで、それはいつ何どき起きるか分かりません。起きないように祈るしかありません。空間線量モニタを見ていても分かりません。分かったときはあとの祭りです。
福島第一原子力発電所は、水を注入しなければ冷えないから水を注入せよ。水があってはいつ再臨界が起きるか分からないから水なしにせよ。という矛盾をはらんでいます。
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東電福島原発放射能事故後、8年の間、私は自分なりに、少しずつ理解を深めて、絶望に絶望を重ねて参りましたが、未だに、自分の命に代えても大切な息子達や、息子たちの奥さんたちや孫達を、東電福島原発放射能事故にもう一度大きな事故が起こったときにそのリスクは、東京にも住めなくなるかもしれないと言うお話も、京都大学の名誉教授の先生が仰ってらしたことも記憶の隅に常にありましたし、
ですから正直、TwitterやFacebookなど、インターネット上で、「福島原発から水蒸気が〜❗️福島原発が再臨界か〜⁉️」などと、数え切れないほど繰り返し繰り返しリスクを煽られますと、いつも気が気ではありませんでした。
そのために精神的なストレスがかかって、私の友人は、お子さんが雨に濡れて帰ってきて、その緊張がピークに達して病気で倒れてしまった人もいらっしゃいます。
でも、その度に、人がバタバタと死んでしまうような大災害が起きないでここまで来たことについては、私の危機感では奇跡だと思ってます。
入口先生、昨日は夜遅くまで、今日も終日、何度にも渡って、私のような未熟者が理解できるようにご協力頂きありがとうございました。